小学校の「Twin Day」 こういう幸せな一日であるべき 銃社会アメリカ(1)

読書の時間に集中して読書をしているともらえる☆のステッカーがたまると、
こんなぬいぐるみみたいな絵文字(EMOJI)がついた
キーホルダーみたいなものがもらえるそうです。


朝、息子がいきなり、

「今日は黒いのを着るんだよ。カーターと、黒って決めたの」

と言ってきたのでよく聞いてみると、今日は仲良しのお友達と同じ色の服や同じ何かを身につけて登校する「Twin Day」とのこと。

「あ~、昨日言ってくれたらよかったね。昨日着ていた黒いパンツ(ズボン)はまだ洗濯が終わってないよ」

と言うと、

「ごめん、ごめん。でも、大丈夫。黒い T シャツを着ればいいから」

と、私の両親がくれた「龍馬」と背中に書かれた黒い T シャツを着て、ジャケットを着て、スクールバスで元気に登校していきました。


フロリダ州パークランドの高校での銃乱射事件から2週間


2月14日にフロリダ州パークランドで元生徒による銃乱射事件が起きてから2週間。

高校生たちが主導して銃規制の厳格化を求める動きが全米に広がっていて、高校生たちが CNN や Meet the Press などの主要ニュースにどんどん登場し、これまでの動きとは違いを感じますが、遺族や生き残った高校生たちの発言やスピーチを聞いているだけで心臓が痛くなります。


あの日、息子が通う小学校の学区の最高責任者からメールが来ました。

その中には、この事件の報道が子供にストレスや不安を与えてしまうことから閲覧を制限すること、保護者自身が落ち着くこと、年齢に応じた形でこの悲劇について話し合うこと、子供が持つ懸念に耳を傾け対応すること、子供の感情表現を助け、行動の変化に注意すること、子供には安定が必要なので平常どおりの生活をすること、などのアドバイスが書かれていました。

そして、その下には、児童生徒の安全が最優先であること、学校には安全と治安維持の訓練が提供されており、すべての学校の警備とアクセス制限機能を支援するリソースがあることも。

これから数週間以内に、コミュニティでの対話の催しが開かれるそうです。


US News などでもこんな記事が。
Helping Children Cope in the Age of School Shootings


銃乱射は学校だって、どこだって、ありえる


アメリカは米国憲法で銃の個人所持が個人の自由と権利として認められている社会であるとはいえ、特に子供にとっては、銃とは無関係な、銃のことなどが脳裏をかすめることもない一日が当たり前であるべき。親にとっても、

「ああ、今日も銃乱射がなくて無事に帰ってきてくれてありがたい」

と考えるなんて、ありえない。


でも、銃乱射事件に関しては、どこでだってありえる話です。

学校はもちろん、それこそ職場でも、カフェでも、レストランでも、銀行でも、図書館でも、スーパーマーケットでも、ジムでも、バスや電車の中でも、イベントでも、リゾートでも、ホテルでも、店でも、または単なる路上でも。


トランプ大統領は、学校の教師が武器を携帯していて、万が一の時は応戦すればいいじゃないかと言ってましたが、そういうことじゃないんですよね。


フロリダ州ではどうなの?


でも、フロリダ州下院では、事件があった高校の生徒や子供を亡くした遺族、教師の反対にも関わらず、学区の教育長や学校の役員会が許可すれば、捜査当局の指導の下に教師を訓練して武器を携帯させる法案を可決しました。

上院の Appropriations Committee は、似たような法案を可決しましたが、このプログラムの導入に保安局と郡の学区の合意を義務付けています。

さらに、銃の購入に際しては3日間の待機期間を設け、購入可能な年齢を18歳から21歳に引き上げ、銃を使用して自分や他人を傷つけると脅迫する人物から銃を押収するためのより多くの権限を警察に与えるとしています。

Miami Herald によると、このプログラムは school marshal と呼ばれるもので、当然ながら賛否両論。


ワシントン州ではどうなの?

恥ずかしながら、これまで銃が何歳から買えるのかについて考えたこともなかったのですが、「我々のリベラルな州が銃に関してより保守的な理由」という記事を、シアトル・タイムズが掲載していました。

Why our blue state is more red when it comes to guns

これはよく知られていないことだそうですが、ワシントン州議会の民主党議員のうち上院議員3人・下院議員2人の合計5人は NRA(全米ライフル協会)から「A」評価を受けており、民主党は銃規制法案の投票を党内ですら行ったことがないんですね。

ワシントン州上院は民主党が多数を占めると言っても、その差は一人。なので、何らかの銃規制法案を民主党が提出した場合、共和党議員が何人か賛成票を投じなければ、民主党議員が一人残らず賛成票を投じないと上院で可決できないのです。

ワシントン州議会では、殺傷用銃器を購入できる年齢を18歳から21歳に引き上げるという法案が審議されています。なんとワシントン州ではこの年齢の引き上げが投票にまで至ったことがなく、これまでずっとそれ以前に頓挫してきたんですね。

そもそもアメリカではお酒を買えるのは21歳から。お酒よりも先に AR-15を簡単に買えるなんて、おかしいでしょう。

フロリダの事件による変化

でも、この年齢の引き上げについては、オバマ政権時代に精神疾患を持つ特定の人が銃を所持することを阻止する法律を撤廃する決議案に署名し、銃を所有する権利とNRAに強い支持を表明してきたトランプ大統領でさえも、フロリダの事件以後に支持を表明したので、変わるかもしれません。

また、フロリダの事件を受け、トランプ大統領は bump stock を禁止するよう司法省に通達しています。この bump stock は昨年10月にラスベガスで起きた史上最悪の銃乱射事件の犯人が半自動小銃に取り付けたとされているもので、自動小銃のように乱射し続けることができるようにするという恐ろしいものです。

先週は、NRA 会員に割引を提供していた航空会社やレンタカー会社など、多数の会社が、その提供を中止すると発表しました。

すべてのニュースを追うことはできていませんが、今日は大手スポーツ用品店 DICK's Sporting Goods が殺傷用ライフル(assault-style rifles)の販売を中止し、銃の購入は21歳以上からにすると発表したことをニューヨーク・タイムズをはじめとする主要メディアが報じました。

同社の会長兼 CEO による報道機関向けの声明によると、サンディフック小学校銃乱射事件(2012年)の発生後、DICK's Sporting Goods の全店舗で殺傷用ライフルの販売を中止したそうですが、Field & Stream の全店舗でも販売を中止するそうです。また、キャパシティの高い弾層(high capacity magazine)の販売も中止し、半自動小銃を自動小銃にするための bump stock は販売したこともないし、これからも販売しないとしています。

初めて知ったのですが、殺傷用ライフル(assault-style-rifle)には、「モダン・スポーティング・ライフル」(modern sporting rifle)なんていうやわらかい呼び名まであるんですね。

そして、これも初めて知りましたが、フロリダ州の高校の事件の容疑者は、昨年11月、同店から合法的にショットガンを購入していたそうです。「事件で使われたものとは異なるが、使われる可能性もあった」と、声明にも書かれています。

また、同社の会長兼 CEO は、常識のある銃規制を制定し、殺傷用銃器、high capacity magazines、bump stocks の販売禁止、総合的な身元調査(精神状態の情報を含む)の義務付け、民間の銃売買や銃器展示会での抜け穴をふさぐこと、などを政治家に要請しています。

「子供たちに彼らの願いを我々が真剣に受け止めていることを知らせる努力に参加してくれることを願う。これでもパークランドのような悲劇が二度と起こらないことは保証できないという人もいるかもしれない。彼らは正しいかもしれない。しかし、常識のある改正が行われ、一人でも命を救うことができれば、その価値はある。この国の最も大切な宝は子供たちだ。彼らは我々の未来だ。彼らの安全を守らなくてはならない」


狩猟が盛んな国ではあるので、猟銃がスポーツ用品店で販売されるのはわかりますが、なぜ殺傷用銃器が一般市民に販売されるのか、まったくもってわかりません。

それにしても、銃に関しては、「持ち続ける」「売買を続ける」ということが損なわれないために、とにかくあの手この手で根本的な解決に至らないように仕組まれた政策や対応ばかり続く気がします。

「銃は人を殺さない、人が人を殺すのだ」と言いますが、どんなに身元確認をしても、どんなに予防線をはっても、購入できる年齢を引き上げても、銃を持っている人間全員がそれを殺人に使わないという保証はなく、銃を買う人間がどういうことを計画したり考えたりしているかを他人が毎回事前に把握して防げるわけではなく、人間の対応に抜けがない保証はなく、さらに一人の人間がいつも正常であるとは限らないので、根本的な解決にはならないのではないでしょうか。

教師が銃を携帯しても、教師がその銃をどこかに置き忘れて盗まれたとか、生徒が教師から銃を奪って発砲するとか、銃を持った教師の教室に銃を持った人が乱入してきても教師がまず撃たれて応戦できなかったとか、いろんなことが起きそうですよね。

教師も学校職員も、児童生徒の安全は最優先としても、常に銃で攻撃されることを念頭に置いて行動し、子供たちにもその危険性を教えて訓練するために教師になったのではないはずです。


アメリカでもいろいろ

アメリカでもいろいろで、みんなが「銃があって当たり前」の生活をしているわけでもありませんし、銃乱射に慣れっこにもなっていません(でも、発生すると「またか」「いいかげんにしてくれ」と思う意味ではある種の慣れなのかもしれませんが)。発砲事件があっても、すぐにそれが発砲であるとわからなかったという証言がよくあるように、みんなが銃の発砲を身近に経験しているわけでもありません。私自身も発砲を聞いたこともなく、銃を手にとって見たこともありません。

事件当時、教室でバリケードを作って隠れていた生徒たちの中にいた学生ジャーナリストが周囲の生徒たちをインタビューしたビデオが拡散されていますが、一人の女子生徒が、

「NRAのジュニア会員になりたいと思っていた。18歳の誕生日を祝うために射撃場に行こうと思っていた。でももう銃が家にあるとか身近にあるとか考えられない」

と話していました。

NRAのジュニア会員になりたいとか、射撃場に行きたいとか、どういうふうにしたらそういう発想になるのか。

同じ国で生まれ育っても、本当にいろいろです。

せっかくいいところもたくさんある国なのに、銃に関しては移住して20数年たっても理解できません。