シアトルにおける「寿司のパイオニア」 加柴司郎さん

日本で修行し、シアトルで1960年代に初めて江戸前寿司を出した、『Shiro's』 の加柴司郎さん。シアトルではとても有名な方ですが、昨年12月に回顧録 『Shiro: Wit, Wisdom and Recipes from a Sushi Pioneer』 を Chin Music Press (本社:シアトル)から出版され、新たな注目が集まっています。

私も以前にジャングルシティで取材させていただいたり、テレビや雑誌の取材をアレンジしたりして大変お世話になっていますが、司郎さんは絶対に偉そうにしない偉い人の一人です。私のほうが仕事にご協力していただいているのに、「お礼に」とお食事に呼んでくださったりする、そんな方です。で、この本ですが、読んでいると司郎さんのしゃべりが聞こえてくるんですよね。文章は英語なのに、なぜか司郎さんの京都弁になって頭の中に流れていく。そんなわけで、読んでいてとっても楽しい本なんですが、この本自体がひとつのアートみたいに、細かいところにとことんこだわってできあがったというような贅沢なデザインなので、「こういうふうに使うなら、印刷物って絶対になくならない」と思わせてくれます。貴重な写真(家族写真を含むさまざまな写真)とアートなイラストが満載なので、見ているだけでも楽しい本です。Chin Music Press の共同経営者、ブルースのこだわりに脱帽!トーク後は、その感動をブルースにも伝えました。すごいな、さすが!みたいな。

で、今日はその加柴さんが Elliott Bay Book Company でトーク・イベントをされるというので、著書を片手に、お友達と一緒に行ってきました!午後2時ちょっと前に到着すると、会場は満員。ちょうど舞台横の席があいていたので座ることができましたが、早く来られた人は司郎さんが作られたお寿司を食べることができていたようです。いやー、さすが司郎さん、30分ぐらいのイベントでもいろいろな質問が参加者から出ました。中には「司郎さんに感謝の言葉を言いたい!」と言った男性もいました。最初から最後までウィットに富んだ司郎さんのおかげで、場はとても和やか。本のタイトルどおりです。

これもいつも思うことですが、司郎さんは温かいんですよね。トーク後もサインを求める人たち一人一人に「ありがとう」 "Thank you" と言っておられましたが、この本にあるように、「自分を受け入れてくれたこのシアトル、パシフィック・ノースウェストへの感謝を伝えたい」というお気持ちが伝わってきます。こういう方にいてもらえて、ラッキーなシアトルです。

入口にも司郎さんの名前が。
会場は約100人のファンで満席。
立ち見の人も。
トークの後はサイン会。
私もサインしていただきました。