泣く乳幼児

機内で寝てる息子。カーシート持ち込み、いつも
一緒に寝ているお猿さんも同伴、毛布で光を遮断するなど
とにかくいろいろ工夫しないと!
もうかなり時間がたってしまいましたが、漫画家のさかもと未明さんが書いた記事、かなり悪評でしたね。記事というよりは、個人的な考えに偏りまくった、おかしな主張を書きなぐったというだけのように思えましたが、あれを雑誌に載せる判断をした編集者はいったい何を考えてたのか?その後、いろいろな方がツイートしたりブログに書いたりし、さかもとさん本人もブログでさらに釈明してましたけど、もろもろのことに対してはこの安彦さんの記事には同感できるところが多くて笑えました。

さかもとさんの書いたこの記事を読んだのは、どなたかのツイートからでした。記事がネットに掲載された時は私自身が息子と日本とアメリカの間を往復して帰ってきたばかりだったので、このあまりにも身近に感じられる話に、ユーモアのある意見を出すことなんてできませんでしたねー。逆に、自分がその親御さんになったような気がして、涙が出ました。しかし、たかが松山から羽田の2時間弱、たいしたことないじゃないか。さかもとさんもさかもとさんですが、JAL も JAL だ。さかもとさんの攻撃対象になった親子にも「またぜひ乗ってください」と声をかけてあげるぐらいしてあげてたらいいんですが。

私の場合、自分に子供がいなかった時が長かったので、その当時の自分の考え方もよく覚えてます。特にシアトルから日本に行く場合には11時間かかりますし(日本からシアトルへは9時間ぐらいですが)、学生だった時は自分がたかだかエコノ ミーの料金しか払ってないことも忘れて快眠できる状況を期待して、赤ん坊が泣いてれば「赤ん坊が泣いててうるさいー、寝られなーい!」と思い、赤ん坊がいなければ「良かった、赤ん坊がいない」とか思ってましたよ。

でも、子供が生まれてみて、幼い子供との外出や、親子で誰かと一緒に時間を過ごすことに(場所はどうあれ)、どれだけ神経と体力を使うことか、体験を通 してわかってきました。こういうのは同年齢の子供がいる親御さんたちや、その段階の子供のことをよく覚えてる親御さんたちとは、説明することなしにわかりあえることがありますね。親になったばかりの人たちと乳幼児の泣き声について「親になる前はうるさいと思ってたけど、親になったら "元気でよかったね" と思うようになった」「親御さんの気持ちが痛いほどわかる」「何かしてあげたいと思う」という、考え方の180度の転換を報告しあうことも実に多いです。これっ て、いい変化です。「なによ、子供ができたからって180度変わっちゃって」と、うとましく思う人も実際いますけど、いい変化はしたほうがいい。

で、息子は先日2歳になりましたが、生後6ヶ月でハワイ、10ヶ月と1歳10ヶ月の時に日本に行ってきました。フライトでは息子は泣き喚かず、これには本当に助かった。フライト・アテンダン トにもかわいがられ、「抱っこさせて」「がんばっているお母さんとお父さんにデザートをお持ちしました」とケーキを持ってきてくださったりしました。そして、積極的に子供と遊んでくれるアメリカ人が多いのは、新しい発見ですね。いないいないばあ(peek-a-boo)をしてくれたり、話しかけてくれたり、的確な接し方を心得ている人が多い。「私たちも経験がある」「ああ、うちの子もこのぐらいの時があったなあ」とか気さくに言ってきます。アメリカ人は普段からそういうふうに話しかけるスモール・トークをするので慣れてるんですよね。そんな雰囲気のほうが、子供もリラックスできるというもの。さかもとさんみたいに怖い行動に出ると、子供も余計に怖がりますよ。睨んだり、怒ったり、怒鳴ったり、そういうことで幼い子供を意のままにしようとしている人を見ると、『太陽と風』 を思い出します。

念のためですが、「みんなが子供好き」と勘違いしてるわけではなく、私はとにかく子連れは誰からも迷惑に思われると思っていたので(自分がかつてそう思っていたからというのもありますし、私の回りの子供のいない人の子連れフライトに関するコメントも影響してました)、何が何でも子供が迷惑ならないようにあの手この手を考えて準備していったもんですから、彼らの接し方のうまさをとてもありがたく思い、かつての自分を反省したのでした。